これは「無作為のアーカイブ」シリーズの中の「すきま植物誌」部門だ。人が無作為に作ったものでもなく、物理・化学作用でもなく、都市に息づく植物の営みを記録した。たとえばアスファルトの隙間から顔をのぞかせる雑草。蔦に侵食される家。路上に落ちた花が描く模様など。大自然ではなく、人の生活圏に見られる小さな自然が対象だ。

ブロック塀とそこに取り付けられた鉄板の隙間から顔を出す植物。鉄板との間にほとんど隙間がないので、なぜそこから植物が出ているのかよくわからない。もう少し植物が大きければ、そこから顔を出せるように穴を開けておいた、ということもあるだろうが、そうも見えない。かといって自力でこじ開けて出て来れるようなパワーがあるとも思えない。

アスファルトの隙間から生えているビオラ。雑草であれば珍しくないが、園芸用の花が普通に咲いている姿がおかしい。まあ生えている側からすれば雑草も園芸用もないだろうが。

水色の壁に伝うツタ。壁の剥がれ具合もいい。すでに窓が開かなくなっているが、蔦に覆われ始めた家はどこでどう手を入れていくのか問題だな。現在、自分の家にブドウを植えてあるのだが、気がつくとすごい勢いで繁殖を始めている。

文具店を覆うクズ。一応まだコントロールができているようだが、剪定にはハシゴも必要だろうし、なかなか大変そう。鉢植えの花も綺麗にしてあるし、レトロな店構えではあるが、きちんと営業中。

バラの花が咲き誇る「うめや」文具店。看板もきちんと見えているし、こんなふうに枝を整えて這わせるのは相当大変だろうな。いったい何年ぐらいかかってこんな状態になったんだろう?

廃墟の中に群生する葉っぱ。観賞用のカラーリーフのようだが、このみっちり感が恐ろしい。いったい内部はどのような状態なのだろうか? しかし光が入って来なければ光合成もできないから、内部までみっちり蔓延っているわけではないか。いずれにせよ、この中で暮らしたくはない。

葉っぱの感じや、先端に残るドライフラワー状の花から紫陽花と思われる。こんなに丈の高い紫陽花は見かけた記憶がないが、手を入れずにいるとこんなに伸びてしまうのだろう。看板の書体も含め、この店の佇まいがいい感じ。

路地裏で遭遇した立派な花。AIに訊ねたらエンジェルズ・トランペットだと教えてくれた。地植えということはないだろうから、きっと大きなプランターに植わっているのだろう。そしてこれは、道路法でいう『道路占用』に当たるのではないだろうか。

道路を占用して元気に育つ植物たち。左側には超芸術トマソンの無用庇、右側には植物ワイパーの姿も見える。トタンと植物のコラボが良し。

アスファルトの道路に落ちたサクラの花びら。雨に濡れて、花びらがスケルトンになっている。花びらの落下によって偶然できた模様。

雨でランタナの花が落ちていた。あまり雨の日に撮り歩くことはないけど、雨はいつもと違う景色を見せてくれるから悪くないかも。

小さな川沿いの道。絶景ではないが、あまり見かけることのないウエットな光景。京都ならではという感じもする。