これは宙玉というレンズアタッチメントです。
チップスターの空き箱を使った工作です。
宙玉を使うとこんな写真が撮れます。
宙玉はフィルターに透明球が接着されたもので、宙に浮かぶ透明球に映る光景を撮影することができます。私が2009年に考案しました。そして現在では光学ボールレンズを使った金属製の製品「soratama 72」も販売されるようになりました。
最初は透明球をレンズの代わりにして撮影をしていました。
その時は黒い板に透明球を付けていたので、玉の周囲は黒く写りました。
そしてある日「背景を同時に写すことはできないだろうか?」というアイディアを思いつき、実験を始めました。
最初の工作は薄い透明フィルム2枚に穴を空けて、それで両側から玉を挟む方法です。
ただし、この方法だとフィルムと玉の境界部分が写ってしまうという問題がありました。
そこで考えたのは透明なアクリル板に小さな穴を空け、玉を接着する方法です。
玉がはみ出した側から撮影をすることにより、境界部分は写らなくなりました。
この新しい工作方法を紹介してから、多くの人が宙玉を使って撮影してくれるようになりました。
しかし、この工作はちょっとチープで、アクリル板は静電気によりホコリが付きやすいという問題がありました。
そこで私はガラスのフィルターに光学ガラス製のボールレンズを取り付けた製品を製造しました。丈夫で解像度の高い「soratama 72」が完成しました。
セッティングの方法
soratamaを使って撮影するには玉に写った光景をクローズアップで撮影する必要があります。
そのためにはマクロレンズや接写リングが必要です。
等倍マクロレンズを使えば直径20mmの透明球を大きく写すことができます。
また通常のレンズで撮りたい場合は接写リングを使えばいいでしょう。
24〜50mm(35mm判換算)程度の焦点距離のレンズがおすすめです。
写真の中で適当なサイズに玉を撮影するためには焦点距離によってレンズからの距離を調整する必要があります。
望遠レンズだとレンズから透明球を離さなければならず、延長筒が長くなりレンズに負担がかかってしまいます。下の写真は望遠レンズを使った例です。筒が長くなりすぎてしまいました。
ただし決まりはないので、いろんなタイプのレンズでお試しください。
撮影方法
玉の内側では像は逆さまに見えるので撮影後に画像を回転させます。
宙玉を使って撮影をする場合の大事なポイントは「絞り値」です。絞りの値を大きくする(絞る)と被写界深度が深くなり玉がくっきりとします。しかしバックはボケなくなります。
一方、絞りの値を小さくする(開ける)と被写界深度が浅くなりバックはぼけますが、玉のエッジもボケてしまいます。つまり玉のくっきり具合を優先するのか、ボケた感じを大切にするのかで絞り値を決定する必要があります。
作例
宙玉での撮影に向いた被写体としては色やトーンのコントラストが高いもの、イルミネーションなど発光しているものなどがあります。
またムービーで撮影すると玉の内側と外側で逆の動きになるのでおもしろいです。
たとえば玉の内側で沈みゆく太陽が、外側では逆に上っていくとか。
いずれにせよ宙玉で撮影をするのに決まりはないので、愛しいものを自由に玉の中に閉じ込めてみてください。
製品版はAmazonやヨドバシカメラなどで販売されています。
セッティング方法など詳しいことが知りたい方は宙玉のスペシャルサイトがありますので、そちらでご確認ください。